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気の向くままに−能郷白山−

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ブナの疎林が谷底に向かって広がっている。大きい木は周囲1mくらいはありそうだ。
白い肌に苔や地衣が張りつき、枝ぶりもブナの風格をしている。
雪国のブナは木肌を見れば積雪量がわかるといわれるが、よく見てもわからない。
ブナの木の間から頂上がよく見える。
しかし頭に描いていた雪渓が見当たらない。
そればかりか、えぐられたような赤土のザレ場が見える。これではカタクリやオオバキ
スミレ、ザゼンソウは望めそうもない。ガッカリである。
最後の急斜面を登っていくと、両側にザゼンソウの大きな葉っぱが沢山生えていた。
すでに仏炎苞はなく葉っぱも30cmくらいに成長しており何の風情もない。
時折サンカヨウの蕾や茶色になったヤグルマソウの葉っぱが気分を変えてくれるくらい
である。

サンカヨウ

カタクリとオオバキスミレ
喘ぎながら頂上まで登ってみると、何とカタクリが群生しているではないか。
雪渓の消えた斜面には雪に押しつぶされたススキのような枯れ草が広がり、まだ
短い若草の中にカタクリが群生している。カタクリの生育環境は落葉樹林が一般的
であり、日照100パーセントの山頂では見たことがない。
所々にオオバキスミレが散りばめられ、ショウジョウバカマも元気である。
今年のザゼンソウは4〜5株見えるだけである。登りで見かけた大きなものでなく、
15cmくらいの赤い仏炎苞を被った誠に可愛いものである。
2年前の6月2日に登ったときには雪渓があり、カタクリ、オオバキスミレとも、もう少
し花が大きく色も鮮やかであったように思う。今年は思いのほか春が早かったようで
ある。
カタクリ、キスミレともここ2〜3日が最後のチャンスか、少し色アセて林のない炎天下
では誠に可愛そうである。



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